もくじ
音楽療法とは
音楽療法とは音楽活動を基に対象者の生活の質の向上を目的にしています。
また乳幼児・児童対象の音楽療法では発達支援が基軸になるでしょう。
生活の質の向上というと高齢者のための健康増進やリハビリのイメージもあるかと思いますが
音楽療法の対象者は乳幼児から高齢者まで障がいや病気の有無に限らず誰でも対象としています。
音楽療法というと・・・
音楽療法=ストレス・不安・不調を音楽で癒す??
残念ながら音楽療法という「療法」という言葉からこういったイメージをもたれやすいのですが特定の音楽を聴けば誰もが同じような効果を得られるとは限りません。
音楽を聴くことで自律神経が活性化することはいくつもの論文でエビデンスが証明されていますが、いわゆるリラクゼーション音楽というジャンルに限らず
高揚的な音楽(気分が生き生きとするようなリズミカルで明るい曲調)でも自律神経が活性化することによってストレス解消につながるのです。
ただし明るい曲調の音楽であったとしても対象者によって感じ方は様々。
今流行のヒット曲を不快に感じれば、逆に悲しい感情を想起したりと
プラスにもマイナスにも音楽が心身に働くことがあるのです。
そういった音楽のもたらす効果を理解した上で、
対象者にどんな音楽でアプローチするのか見極めながら
音楽を通した生活の質の向上・発達支援を試みるのが音楽療法士としての仕事になります。
音楽療法は音楽を使った治療・医療行為ではありません。
音楽を通した身体・精神的支援活動を音楽療法の基本としています。
音楽がもたらす効果 - 心理的・生理的・社会的作用 –
音楽は心理的、生理的、社会的な作用を秘めています。
【音楽が持つ3つの作用】-音楽がもたらす効果-
心理的:心の発達を促す
生理的:身体に働きかける
社会的:協調性を養う
【乳幼児を対象にした場合】
心理的
快・不快。安堵感。
雰囲気・状況を感じ取る。
生理的
音楽に合わせて体を動かす。体操、ダンス。
発声・発語を促す。
緩-急,静-動を体感する。
社会的
協調性を養う。
合奏・合唱など達成感の共有。
活動をする上で「楽しい」活動であることは前提ですが、そこに目的や意図をもって、
こどもたちの発達支援になるような音楽活動を計画するのがポイントになります。
音楽を用いて体験できること(乳幼児・児童対象)
こども対象の音楽療法では生活の質の向上、発達支援が主軸と言いましたが
具体的にはどういった活動ができるでしょうか。
発達支援
例えば運動が苦手な子どもも音楽で無理なく身体の運動を誘発したり、みんなでダンスに取り組むことで楽しく発散することもできるでしょう。
生活の質の向上
月齢に応じた発達課題を音楽でサポートします。音楽で楽しい雰囲気を作ることで苦手な場面を乗り切れたり、落ち着いた音楽を流して1日の終わりを感じさせることなどもできます。
音楽×絵本で想像力を養う
こどもの歌にはたくさんのキャラクターが登場します。
季節を感じさせる歌に、誕生日やお正月などの行事に歌は欠かせません。
ここで合わせて絵本を読むことで、より歌詞と絵が想像力の架け橋となるでしょう。
こどものための音楽活動を考えよう!
歌唱 歌を歌う。 | 呼吸機能の維持・強化。発散、情緒の安定。 |
器楽 楽器を演奏する。 | 集中力を高める。発散、達成感を味わう。 |
手遊び リズムを感じる。 | 心身の活性化。脳への刺激。 |
身体運動 体を動かす。 | 身体機能の維持、改善。 |
歌詞 曲にまつわることを語り合う。 | 発語を促す。回想、体験の共有。 |
鑑賞 音楽を聴く。 | 回想、情緒の安定と沈静化。 |
創作 作詞作曲する。 | 自己認識。自己発見。情動の発散。 |
音楽活動そのものに、子供たちにプラスの効果をもたらす要素が含まれています。
そこに意図をもって子供たちの支援につながるよう音楽活動を取り入れてみませんか?
毎日の挨拶にピアノの音に合わせてお辞儀する それだけでも立派な音楽活動です。
これはピアノたった1音鳴らすだけであっても、目的・意図をもって弾けばこどもにとって複合的なアプローチになります。
もちろん、生の楽器ではなく録音した音楽でもいいのです。
音楽療法では音楽そのものの上手い下手、完成度を求めません。
またリトミックのような音程や音感を養う指導や教育を目標にしません。
音楽活動を通した、こどもへのサポートなのです。
音楽療法ではこどもたちの生活の質の向上・発達支援を考え音楽活動を計画します。これは保育の現場でも週・月ごとに、こどもたちの指導計画を立てるのと全く同じですよね。