【音楽療法】童謡・唱歌を歌おう!-こども向けの歌・音楽のメリット

音楽療法×童謡・唱歌

童謡とは総称として幼児・児童対象の音楽「こども向けの歌」

保育の現場で歌う曲の鉄板! それは童謡。

言葉そのもの『童(わらし)』『謡(うた)』ということもあって
「子ども向けの歌」を総称として「童謡」と括った広い意味でも使われます。

さて、そう括ってしまうと世代によっては異論有り!と感じる人もいるでしょう。

アニメソング、某教育TV番組の歌、通信教育出版社発の歌・・これも童謡なのでしょうか?

昔、流行った歌謡曲が、数十年後に子供の歌となってまた流行した・・
ということも多々あります。

いつの時代に、どんなジャンルで発表されたかというよりも
子供たちが慣れ親しんだ歌になれば、童謡の仲間入りになることもあるのです。

「きらきらぼし」の歌も元はフランスのシャンソン曲で大人の恋の歌💗

しかし、元来の「童謡」とは何か、
童謡と唱歌の誕生のルーツを合わせてもう少し紐解いてみましょう。

童謡と唱歌のルーツ

春を題材にした歌として、「春が来た」「春よ来い」という二つの子どもの歌がありますが
「春が来た」は唱歌、「春よ来い」は童謡という位置づけで発表されています。

唱歌「春が来た」 明治後期 作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一
童謡「春よ来い」大正後期 作詞:相馬御風 作曲:弘田龍太郎

歌詞を読み比べてみると、
唱歌「春が来た」は自然の風景を、童謡「春よ来い」は子供目線の情景が歌われていますね。

「春よ来い」は松任谷由実さん平成ソングもありますよ~!(平成世代)

唱歌:誕生のルーツ

明治初期 政府は小学校の教科として唱歌を設置。その目的として「小学唱歌集」が刊行される。「国家形成」の役割をもっていたのもあって、日本の国土・風景などを題材に文語体で書かれた子供には難解な歌が多かった。

童謡:誕生のルーツ

大正初期 唱歌に反する形で児童文学者 鈴木三重吉が童話と童謡を創作する雑誌として「赤い鳥」を発刊。より子供を中心(童心主義)とした芸術性をもった歌作りの運動が広まる。

今では正式な分け方ではなく「童謡・唱歌」と合わせて紹介されることも多いですが、
このように歌が生まれた背景を知ることも保育の現場で歌を選ぶ際のヒントになることでしょう。

音楽がもたらす効果 - 童謡・唱歌を歌うメリット-

さて、ようやく本題の童謡・唱歌を歌うメリットとは・・

音楽療法の現場では子供だけに限らず、童謡・唱歌を高齢者も歌います。
先ほど説明した童謡の生誕とされる「赤い鳥」発刊は1918年・・100年以上も経つのです!

高齢者と共に童謡・唱歌を歌う目的の一つには「回想」がテーマになります。
懐かしい歌と感じること、昔を思い出すということは認知症予防にも効果があります。

自然の風景の歌詞は、季節を感じたり、時間を認知するにも効果があります。
また歌を歌うことで口を動かし口腔機能を改善することも期待できます。

では、子供にとってはどんなメリットがあるのでしょうか!
こどもにとっても同じことがいえますよ~。

「歌う」ことの心理的、生理的、社会的な面からあげていきましょう。

生理的

こどもの歌いやすい音域で無理なく歌える曲が多くあります。
呼吸は意識せずとも自然と行えますが、歌は自分の意志をもってきちんと体の機能を使わないと歌えません。集中力や、肺の機能を高めることにつながります。

心理的・社会的

親、友達、保育者と非言語コミュニケーション
言葉の理解がまだできない子供にとっても音楽はコミュニケーションとなります。
親が童謡を歌うことで懐かしいと感じる気持ちや安心感は子供にも伝播します。
またみんなで一緒に歌うことはその時間を共有する大事な経験となります。

語彙獲得・想像力を高めるなど、歌詞から得られることも童謡・唱歌には多いでしょう。

こどもにとって童謡・唱歌はブラッシュアップされた教材!

童謡とは

先ほど日本の童謡では100年の月日が経ったといいましたが、
その間にはたくさんの唱歌・童謡が発表されてきました。
さらに世界へ広げると「きらきらぼし」「むすんでひらいて」などは
200年以上も前の曲です。

それだけの年月に忘れ去られずに今尚、語り継がれるには
いつの時代にも通じる秘められた音楽性があるのでしょう

実際、唱歌は「国家形成のため」にたくさんの曲が作られましたが定着しなかった曲の方が多いのです!

しかし、初期の童謡や唱歌は子供にとって言葉が難しい、
現代では意味が伝わりにくいのも事実です。

昔の言葉から連想することは想像力を高めるには良いですが
現代の歌も若い作家の柔軟な感性が光る歌はたくさんありますよ♪

記事冒頭で書きましたが、アニメソング・TV番組の歌でも広い意味での「童謡」です。
歌うことのメリットはもちろんあります。

子どもたちにとって全てが新しい歌・新鮮な経験なのですから
保育の現場では新旧にこだわらず、
保育目的をもって歌を選ぶことを大事にしてもいいと思います。

高齢者に童謡・唱歌を歌う機会を紹介しましたが、
人によっては童謡なんて歌いたくない・歌謡曲が好み!という人もいます。
音楽療法の考えでは、対象者に合わせて音楽を臨機応変に選ぶことも必要なのです。